


彰化
長日咖啡
「太陽の香り ”お日様コーヒー”」
農園紹介:
10か所の珈琲農園の中でも一番標高が低い場所にある長日珈琲の農園。農園の名称は「國村咖啡莊園」。こちらは現在のオーナー・張智閔氏の父・張水勝氏夫妻が19年前にコーヒー農園を始めた際に、智閔氏の祖父の名前・國村からとったのだという。
「長日咖啡」の由来は2つ。苗字が“張”である事と、標高が低いため“長い時間お日様に照らされている”という意味から命名されている。その名の通り、100-300mの底標高である同農園は日照時間が他の農園に比べてとても長く、長日珈琲の製法では乾燥機器を使わずに全て自然太陽光による天日干しでコーヒーの精製を行っている。そのため精製工程における豆自体の香りが非常に豊かで、コーヒーの花でさえも他の農園に比べて花びらも大きく香りが強い。
なお、長日珈琲では環境問題への取り組みにも力を入れている。底標高だからこそ叶う完全天日干しの製法により乾燥機器の使用量が減らせるため、Co2量の排出削減ができているほか、通常破棄されているコーヒーの粉を再利用した商品の開発なども行い無駄を無くしている。
例えばコーヒーの粉の蚊取り線香、お香、そしてコーヒー炭などだ。中でもコーヒー炭は現段階で長日珈琲のみが製造している画期的な商品と言える。使用後のコーヒーの粉を使用しているため、木を切り倒すこともなく、通常の炭が出来上がりまで3日間はかかるところ、コーヒー炭はたったの20時間で出来上がるため無駄なCo2の排出を抑える事もできるのだ。また、すべて自然界の材料を使用しているため、環境にも優しいという。
その他、コーヒー果皮茶やコーヒー葉茶など、コーヒー製造で1つも無駄なく利用できるようにするなど、サスティナブルコーヒーを念頭に置いている。このような開発ができるのも、実は智閔氏は元々テクノロジー業出身。自身の経験をコーヒー事業にも生かし、常にコーヒー事業の新たな可能性を探っているのだ。
智閔氏は今後の目標として、「現在友人と“AIコーヒー豆選別機”の開発を進めており、近年内には造り上げたい。これができれば人権費や製造工程の時間削減にもつながっていき、台湾のコーヒー製造における問題点を解決していけると思う」と話している。
近年の受賞歴:
2021年彰化県国産スペシャルティコーヒー評鑑(戶籍組) - 頭等賞
2021年彰化県国産スペシャルティコーヒー評鑑(種植組) - 銀質賞
2020年彰化県傑出專業農民賞
2020年彰化県国産スペシャルティコーヒー評鑑(種植組)- 頭等獎賞
2019年台湾国産スペシャルティコーヒー評鑑 - 精品
2018年台湾国産咖啡品質評鑑示範賽 - 貳等賞
2018年台湾国産スペシャルティコーヒー評鑑 - 精品
基本情報:
オーナー:張智閔
住所:彰化市三民路123號
電話:04-7238282
南投
92向陽高山咖啡
「総統府国宴指定の”お国コーヒー”」
農園紹介:
元々南投國姓にて檳榔の農園を営んでいたオーナーの林言謙氏。921大地震の際に大きな被害を受けた同地区だが、根の浅い檳榔も壊滅的な被害を受けたのは言うまでもない。林氏は目の前に広がる絶望的な風景に気力をなくしていたが、ある日、地震後に荒地となっていた場所から偶然コーヒーの苗を発見。地震の被害にも負けずに力強く生えるコーヒーの苗の生命力に感動し、運命を感じた林氏はここからコーヒー栽培を開始した。現在は20年の経験を持つコーヒー農園の農夫だ。
妻の彭婕汝女氏もコーヒーに興味を持ち、コーヒーカッパーの資格を取得しており、カフェ「92向陽高山咖啡館」を夫婦で運営。立ち寄る観光客らに同農園のコーヒーの魅力を伝えている。まだ幼い4人の子供達もすでにコーヒーに興味を持っており、林氏は同農園を子供達が継いでくれることが夢だと語る。
92向陽の名前の由来だが、同農園が九份二山に位置すること、そして921大地震後にコーヒーと出会ったこと、そしてコーヒーを抽出するのに最適な温度が92℃であることからきている。
南投の九份二山に位置する同農園は、標高1200m、日中と夜間の温度差が激しく、湿気も十分で太陽の日差しも満ち足りており水はけも良く、コーヒー栽培にはもってこいの環境だ。なお、有機肥料にこだわりコーヒー栽培を行っており、SGSの農薬残留検査にも合格するなど、安心安全保証つきだ。
このように様々な製法のコーヒーを製造できるのも、カフェの隣にある精製工場の設備が充実していることが関係していると言えるだろう。豆の選別機から乾燥機、焙煎機まで一式が揃っているため、ワンストップで精製を行えるのだ。中でも焙煎機が充実しており、大型の焙煎機3−4台を使い分けている。精製工場で製造された作りたての豆で淹れたコーヒーを隣のカフェで頂けるのは生産地であり消費地でもある台湾ならではの贅沢な体験だ。
そしてカフェに隣接する多目的スペースではコーヒー業界関係者らの研修の他、地元の子供達を招いてワークショップを行うなど、地域への貢献なども積極的に行う。このような取り組みは、「地元の子供達にも自分たちの地域でコーヒー栽培が行なわれていることなどを知ってもらいたい」との林夫妻の思いから行なわれている。
近年の受賞歴:
2021年南投県咖啡評鑑 特等賞及び1位
2020年南投県咖啡評鑑 特等賞及び1位
2019年南投県咖啡評鑑 1位及び金質賞
2015年SCAA (Specialty Coffee Association of America)CQI 86.08分(アジア1位)
基本情報:
オーナー:林言謙
住所:南投県国姓鄉中正路一段206号
Tel:04-92721430
森悅高峰咖啡
「一口で感じる山脈の恵 ”森のコーヒー”」
農園紹介:
もともと夫婦共に建築業のセールスをしていた農園オーナーの吳振宏氏と妻の洪家蔆女氏。夫婦で森林での暮らしに憧れ7−8年前に泰雅(タイヤル)族の友人から南投仁愛鄉霧社にある原住民保留地を購入しコーヒー農園を始めた。吳夫妻は、土地の自然環境を破壊せずに、原始林を残した形でコーヒーの木を植え、あくまでも自然生態系との融合を大切にすることをモットーとしている。そのため同農園を訪れるには、デコボコ道を徒歩、またはトラックに乗ってガタガタと揺られながら向かう必要がある。道中では昆虫や鳥、猿など様々な生態を見ることもできる。まるで大自然への冒険に出かけているような気分になる。
呉氏によると、標高が高いことによる利点として、日中と夜間の温度差が激しく、霧が多いことなどが挙げられ、これはコーヒー栽培においての優位点といえるという。また、標高が高いことで冬は特に寒さなどの影響を受けるため、コーヒーチェリーの皮は厚く、少し硬くなるのも特徴だ。なお、標高の高い厳しい自然環境の中で育ったコーヒーチェリーは丈夫で高密度、風味が豊富、森林における四季の植物の多種多様な香りのハーモニーを感じることもできるという。
同農園のコーヒーを飲んだ人の中には、“一口味わった瞬間に木々や花々、空気など森林全体がイメージさせられる”と例える人も多いという。
今後の目標として呉夫婦は、「農園の環境を再度整理し、コーヒー農園の紹介や森林内の自然生態系の紹介をするガイドツアーなどを用いて、多くの皆さんに訪れてもらえる農園にしたい」と語る
近年の受賞歴:
2021典藏台湾スペシャルティコーヒー国際競標,第8位
2021竹梅源スペシャルティコーヒー大賞-金賞(水蜜)
2021南投咖啡評鑑-頭等賞(ナチュラル)
2020国産咖啡評鑑-銀質賞(ナチュラル、ハニープロセス)
2020南投咖啡評鑑-頭等賞(ナチュラル)
2020南投咖啡評鑑-銀等賞(ウォッシュド、ハニープロセス)
2019国産咖啡評鑑-金質賞(ハニープロセス、ウォッシュド)
2018国産咖啡評鑑示範賽-1位
基本情報:
オーナー:吳振宏・洪家蔆
住所:南投県仁愛鄉高峰巷56-1号
Tel:0963631733
雲林
TGC台灣咖啡莊園
「世界に向けてGo!! ”台湾珈琲のパイオニア”」
農園紹介:
オーナーの徐飴鴻氏は雲林古坑の出身。コーヒー業界に携わる前には7店舗のスーパーマーケットを経営する敏腕ビジネスマンだった。
徐氏が本格的にコーヒー業界に参入したのは2004年の事。当時、コーヒーがなかなか売れない現状を見ていた徐氏は、同年に古坑地区の小規模コーヒー農園を助けるために「古坑咖啡企業」を立ち上げ、小規模農園のコーヒーチェリーの購入を開始。その後、古坑のみならず屏東、台南、高雄、嘉義、雲林、南投などの小規模農園からもコーヒーチェリーの購入を行うなど規模を広げていった。また、現在では農民が高齢化し、続けることが難しくなったコーヒー農園を引き継ぎ、自身の農園としてコーヒー栽培も行っている。1年のコーヒー豆における合計生産量は約3tで、台湾の農園の中でも最大規模と言える。
さらに、2011年には「TGC(Taiwan Good Coffee)」ブランドを創立し、「揺るぎない台湾スペシャルティコーヒーブランドを作り上げたい」との目標に向け日々努力を続けている。スーパーマーケットを経営していた経験のある徐氏は、元々の人脈と販売ルートなどを活かし、数々の国内店舗やECサイトでの販売を拡大し、国内外に台湾コーヒーを広めている。
同農園の精製方法の特徴として、ウイスキーや赤ワインの樽を使って12ー16日間じっくりと寝かせる発酵方法がある。徐氏によると、同工程により、風味に多様性を持たせることができるという。
また焙煎についても、10年以上の経験を持つ焙煎師の徐氏が主導し各商品を作り上げている。中でも興味深い商品が、「十二星座」をテーマにしたコーヒーだ。十二星座にそれぞれ個性があるように、同商品にも一つ一つの星座の性格に合うような精製方法を施している。例えば、しし座ならば明るく力強い太陽を思わせるナチュラル製法を採用するなど、星座により精製方法や焙煎方法を変更し、バラエティ性を持たせている。
「自身の農園だけでなく、台湾全体で“台湾スペシャルティーコーヒー”を確立させ、台湾のみならず世界に強く認識してもらいたい」(徐氏)。
近年の受賞歴:
2020年臺灣國產精品咖啡評鑑 80点以上の高評価を獲得
2012年TGC『古坑掛耳式精品禮盒』が雲林10大ギフトに選出
基本情報:
オーナー:徐飴鴻
住所:雲林県古坑鄉大埔橋66号
Tel:05-5828658
古峰咖啡
「自然の友人、無農薬コーヒー」
農園紹介:
オーナーの賴彥合氏の家族は元々1986年よりお茶栽培、1999年よりフルーツ(日本甘柿)栽培を行う農家だった。コーヒー栽培を開始したのは2015年のこと。
フルーツ栽培をしていた頃、賴氏の父親は農薬を使用していたが、賴氏はその農薬の影響で気を失い、病院へ送られた経験を経て、無農薬栽培へとシフトした。現在では荘園全体で有機肥料を使用し、環境に配慮した栽培方式を導入している。